皆さん自炊してますか?
と言っても、ここでの「自炊」とはご飯炊いたり、料理をしたりすることではなく、自分の所有する本を電子書籍化(デジタル化)することをいいます。
ザックリいうと、自炊とは、本を画像データとしてパソコンなどに保存しておくという事です。
僕は4年ほど前から始めて、現在までに500冊くらい「自炊」してきました。
小説、雑誌、マンガ、ビジネス本、資格の本、レシート、カタログ、小冊子等々・・・基本的に本の形をしたものは大体電子化しています。
今回は、自分で電子書籍をつくるメリットや必要な道具を紹介していきたいと思います。すぐにやり方を知りたい方は下記の【実践編】記事へどうぞ。
本を電子化する理由
皆さんは本棚の本をどれくらい読み返してますか?
よほどのお気に入りでなければ、1回読んだらその後はほとんど本棚に眠っていませんか?
新しい本も欲しくなるけど、本棚もしまう所が無くなってきてるし‥‥
いざ、新しい本を買って、しまうために古い本を処分しようと整理し用と思っても、
また、これ読むかもしれないからとっておこうかな・・・
なんて考えて結局何も処分できなかったなんてことになっていませんか?
洋服と同じようになかなか捨てたりするのは難しいですよね。
でも、大丈夫です!
「いつか読むかも・・・」と「処分」の両方に対応できるのが今回の自炊(電子書籍化)なのです。
いつか読むかもしれないなぁというモヤモヤを断ち切って物を減らせば心も家の中もスッキリします。ぜひ、「自炊」を考えてみてください。
次はメリットとデメリットを紹介するので、まずは自分の生活スタイルに合うか確認してみましょう。
電子化のメリット・デメリット
電子化をしてきて感じたメリット・デメリットをお伝えします。
まずはメリットとデメリットを知って自分に合ってるかを知り、コストと手間をかける必要があるかをしっかり考えることが失敗しない秘訣です。
- どこでも本が読める
- 何冊でも持ち運べる
- 収納場所が必要ないので収納スペースが広がる
- 劣化しない
- 片付けつつ本の情報を保持できる
- 本の解体作業が手間
- 解体された本は元に戻らない
- 初期費用が高い
- カラーがきれいに取り込めない
- ブルーライトで目が疲れる
続いてこれらの項目を一つずつ解説していきます。
メリット
メリットの最初の4つは自炊に限らずkindleなどの電子書籍のメリットでもあります。
どこでも本が読める
電子化してスマホやタブレットの中に入れられるので、スマホが使えるところならどこでも本が読めるという事です。
例えば電車内ではつり革につかまっていると本をめくるのがなかなか大変です。また、混雑時に見開きで本を広げるのが難しい時があります。
しかし、スマホなら片手で操作可能です。待ち時間も手軽に出し入れでききて、スキマ時間の有効活用にもつながります。
最近はスマホが大画面化しているので、文庫本サイズはいうにおよばず、B6サイズくらいの本なら問題なく読めるレベルにあります。
何冊でも持ち運べる
これもスマホの進化の賜物でもありますが、現在のスマホのストレージ(記憶容量)がかなり大きいのでかなりの数の電子書籍を持ち運べます。
僕の場合、300ページの文庫本は、大体300メガバイトくらいあります。今のスマホの容量が64ギガバイト=64,000メガバイトだとすると、200冊超持っていける計算になります。
毎日通勤で本を読んでいると、キリが悪くて次の巻を持っていかざるをえないなんてことはありませんか?
文庫本でも2冊持つと結構重いですよね。
それが1冊500ページを超える長編だったりすると大変ですよね。
電子化するとこの煩わしさがありませんし、スマホに入っているので忘れることもありません。
収納場所が必要ないので収納スペースが広がる
当然ですが、物理的に無くなるので置く場所が必要ありません。
すべては、PCやクラウドドライブに保存しておくことが可能です。
本の数が少ない人はUSBメモリ1つに収まるかもしれません。
本の収納が必要無くなれば本棚事態を処分して部屋を広く使うことも可能ですし、本の代わりに今まであふれていた物を収納することもできます。
物を減らせれば片付けを減らせます。その時間を他のことに使うことができるようになります。
また、地味に便利なのが色々な紙ベースの書類を電子化して処分できること。
給与明細、医療関係の書類、子供の学校関係の書類等。
さっさと捨ててしまうツワモノもいるかもしれませんが、処分するかどうか悩んでいる人は多いんじゃないでしょうか。
こういう書類こそ電子化すれば場所も取らないし、検索性もよくなります。
必要になるかもしれないと思う場合は、1,2年は紙で手元に置いておけばよいでしょう。
僕は2年を目安に処分しています。電子化して外部流出が怖いという人はZIPやPDF化してパスワードをかけておけば良いと思います。暗号化ツールならより堅固になるでしょう。
劣化しない
電子データなので変色したり、カビが生えたりしません。
もちろん、データなのでPCが壊れれば消える可能性はありますが、Googleドライブなどのクラウドドライブにバックアップしておけばその不安も解消しますし、いつでもデータをダウンロードすることもできます。
電子データは複製が容易なので、たとえばタブレットなどで手書きで色々メモしたりしてもマスターデータを別で保管しておけば綺麗なままの書籍も残しておくことができますよ。
ただし、複製が容易だからと言って多くの人に転送すると著作権法に抵触する恐れがあるので、あくまで私的利用の範囲内で利用するようにしましょう。
また、汚れたり黄ばんでしまった本をきれいにすることも。
スキャナのメーカーによって名称が異なりますが、電子化に使うドキュメントスキャナのソフトには多くの製品に汚れ除去という機能がついています。
小さな汚れはこの機能で除去することが可能です。黄ばんでしまった文庫本も気になりません。
ただし、あまりこの除去機能を強く設定すると、マンガのスクリーントーンが消えてしまうこともありますので、事前に設定を色々試してから使用しましょう。
あまりにも汚れがひどい場合は、こういうスキャナの付属機能では綺麗にできないので画像編集ソフトを使う必要があります。
デメリット
本の解体作業が手間
スキャナで読み取るにはどうしても本を解体して、1ページずつにしなければなりません。
ここが一番労力を必要とする所であり、一番時間がかかる所ですね。また、カッターなどの刃物を使うので一番危険な作業でもあります。
本を解体する作業には次の章で紹介しますが、カッターを使う方法と裁断機を使う方法があります。
本の背の接着部分をカットすることで1枚ずつにばらすのですが、カッターを使う場合は文庫本でも4分割くらいにする必要があります。
裁断機だと厚さにもよりますが、分割せずに一気にカットすることができます。
ただし、裁断機は大きくて重く高価です。
ここは時間と金額のトレードオフになります。
どうしても時間を掛けたくないという方は、コストがかかりますが、本の裁断のサービスを使うという手段があります。1冊50円前後で処理してくれるようです。
スキャンまでしてくれるところもあるようですが、著作権的にはグレーな部分なのであまりお勧めはしません。
解体された本は元に戻らない
接着部分をカットしてしまうので、本としての機能が失われるのでそのまま廃棄となります。
もう一度ボンドを大量に塗ってくっつけることは可能ですが、カットした分だけ短くなっているのでカット前と同じように使用できるかは疑問です。
下の機器を使って復活させる方法もありますが、個人的には裁断して処分したくない本はそもそも電子化しないほうが良いと思います。
初期費用が高い
必須となるドキュメントスキャナは市場規模がそれほど大きくないので、どうしても値段が高いです。最新機だと4万円以上してしまいます。
また、裁断機は厚い本を一回で裁断できるようなものは大型で3万円以上と高価です。
カラーがきれいに取り込めない
ドキュメントスキャナは大量の書類を素早くスキャンする機能に特化しているので、カラースキャンは弱い傾向にあります。
ただし、弱いといっても電子書籍として読めないというわけではなく、色合いが実際の本と少し違うなと感じる程度です。
参考書や雑誌などの場合は問題なく読めるレベルだと感じますが、美術書のような色にシビアな本はスキャンしないことお勧めします。
ブルーライトで目が疲れる
これは自炊に限ったことでは無く、販売されている電子書籍にも言えることではあります。液晶画面でブルーライトの影響はでてきます。
ただ、個人的には紙と電子書籍で目の疲れ具合の違いはほとんどわからないとは感じます。
気になる人は電子書籍を買ってみて試してみてはいかがでしょうか。
とはいえ、ブルーライトは寝る前に浴びない方がいいといわれているので、寝る前に本を読む習慣がある人は電子化する前の本を読むとか、ブルーライトが出ないAmazonのキンドルペーパーホワイトで電子書籍を読むという工夫は必要かもしれませんね。
キンドルペーパーホワイトで自炊した電子書籍を読めるのかは使ったことが無いのでわかりません。
電子化の流れ
本を電子書籍にするまでの流れは次のようになります。
カッター、裁断機で本を解体
ドキュメントスキャナ―でパソコンに取り込む
取り込んだ画像データを使用用途に合わせて変換する
自炊して作った電子書籍のためのアプリで読む
より詳しくは実践編で紹介します。
電子化するための道具
ここでは、自炊に必要な道具を紹介していきます。
パソコンとスマホは持っているという前提で、ここでは紹介しません。
自炊するために必要な道具は
- カッター、裁断機
- カッターマット、定規
- ドキュメントスキャナ
- タブレット
カッター、裁断機
大型の裁断機を使用する場合は必要ないかもしれませんが、本の厚さによっては本を分割する必要があるのでカッターを用意しておきましょう。
このカッターは100均の物でも大丈夫です。大体一家に一つはあると思います。
処分する本が何百冊もあるという方は高価ですが、裁断機がおすすめ。本の解体の時間を大幅に短縮できます。
裁断できる枚数は減るけれど、もう少し値段が安いのが欲しいという方はプラスの製品がお勧め。Amazonでは時々2万円以下になるのでその時がねらい目ですね。(ここ1年はあまり安くなっていないようです。)
もっとコストを抑えたい人はロータリーカッターがよいでしょう。サイズがいくつかありますが、LLがおすすめ。
替え刃と合わせて買っても2000円以下でそろいます。
注意点は、ロータリーカッターだとなれるまでは結構危険だということ。裁断するときに少し力も必要です。
もう少し安全なのが欲しいという方はこちらのカール事務器の製品がおすすめ。
原理はロータリーカッターと同じですが、安全性はこちらの方が良いですし力もあまりかけずにカットができます。
ロータリーカッターをつかうにあたってはカッターマットと金属定規が必要です。カッターマットは、本がすべて収まるサイズを選びましょう。おすすめはA4サイズ以上。
定規は金属製の物がおすすめです。特に押さえ手を守る仕組みがついている定規が良いですね。
ドキュメントスキャナ
とにかくこれがないと始まらない、必須な機器です。
ドキュメントスキャナには基本的に色々な付属ソフトがついているので、スキャナ本体で選ぶのが難しい場合はこのソフトの内容で選ぶのもいいかもしれません。
どういうソフトが付いているかは各メーカーのサイトでよく確認を!
主なメーカーは4社。
大手家電量販店ではこの4社のスキャナのどれかは大体置いてあります。
富士通
まずは富士通。ドキュメントスキャナでは一番使われているScanSnapが有名。
会社でも使われているので安心感があります。
キヤノン
フラットベットスキャナはよく見かけますが、最近はドキュメントスキャナでは勢いが落ちている印象です。
他のメーカーの製品とデザインがちょっと違うあたりが好き嫌いの分かれる所かもしれません。
ちなみに僕が以前使っていた古いスキャナもキヤノンでした。
エプソン
プリンタという印象が強いですが、スキャナも売ってます。
昔はキヤノンの方がお店に置いてあったのですが、最近はエプソンの方をよく見かけます。
現在使っているスキャナはエプソンです。
ブラザー
昔は、ブラザーのスキャナーは他のメーカーより数千円安かった印象ですが、最近はあまり差はないようです。
性能が良くなってきたという事でしょうか。
どれも各メーカー最新機では、4万円オーバーでかなり高価です。
スキャン速度や重送検知など性能は良いと思いますが、本の数が少ないとかちょっと試したいという人には手が出しずらいですね。
しかし、実際使っていると最新機である必要はないと感じてます。僕は最近まで、10年くらい前の型のスキャナを使っていました。
スキャン速度はさすがに遅かったですが、画質に関しては問題なく読めるレベルにありました。
なので、特に最新機にこだわる必要はないと僕は考えています。
購入するときはメルカリなどのフリマアプリがお勧めです。
メルカリで製品の説明文を読むと、最初に少し使っただけというものが結構あります。つまり、新品に近い状態の物が出品されているわけです。それだけで、市価より1~2万安く変えることもありますよ。
あともう一つの考慮点として、スキャナには有線と無線のタイプがあります。
おすすめは圧倒的に無線のタイプ。
置く場所を制限されないので、作業机が散らかっていても、スキャナを別の場所に置いて作業できるので便利です。案外パソコンとつなぐケーブルも邪魔になりますから。
タブレット
スマホ、パソコンがあるので必須では無いですが、スマホよりも大きい画面で、パソコンよりも起動がはやくて手軽に読めるのであるとかなり便利です。
タブレットは色々なメーカーからかなりの種類が出ているので、なかなか難しいですが、基本的に使っているスマホと同じOS搭載の物を選ぶのがベスト。
iPad
iPhoneを使っているならば、iPad一択ですね。
どのiPadでも大丈夫ですが、一番安い無印が良いと思います。とはいえ、最近はノーマルのiPadもかなり値段が上がってしまいました。
電子書籍を読むだけなら、1,2世代前でも十分すぎる性能があるので、こちらもフリマアプリなどで中古で購入すれば支出が抑えられます。
Kindle Fire HD
Androidのスマホを使っているなら、最強のコスパを誇るAmazonのタブレットKindle Fire HD。
iPadAirを買うまでは、僕もこのタブレットを使っていました。
ただ、このタブレットはiPadと違い縦長の長方形なので、電子書籍を見開きタイプ表示するとかなり小さくなってしまいます。
Androidのタブレットは縦長の長方形タイプが多いので、見開きタイプで使いづらいのが欠点だと感じます。
Kindle Fire HDのもう一つの欠点は、Google Playストアが使えないことです。Amazon独自のアプリストアでアプリをダウンロードすることになります。
一応Google Playストアと同じようなアプリもありますが、数は圧倒的に少ないですね。また、更新が止まってしまっているアプリもあります。
Xiaomi Pad
Kindle Fire HDだとアプリに制限があるので、Google Playストアが使えるタブレットが欲しい場合はもう少しお値段が高くなります。
Androidタブレットの中で、コストパフォーマンスが高いと話題になったタブレット。
スマートフォンでも高コスパの製品を販売しているXiaomiのタブレットです。スマホシェア3位のメーカーだけあって安心して使えるタブレットです。
まとめ
- どこでも本が読める
- 何冊でも持ち運べる
- 収納場所が必要ないので収納スペースが広がる
- 劣化しない
- 片付けつつ本の情報を保持できる
- 本の解体作業が手間
- 解体された本は元に戻らない
- 初期費用が高い
- カラーがきれいに取り込めない
- ブルーライトで目が疲れる
大まかな流れ
カッター、裁断機で解体する
ドキュメントスキャナ―でパソコンに取り込む
取り込んだデータは画像データなので必要に応じてPDFなどに変換
自炊して作った電子書籍のためのアプリもあるので便利♪
ここまでお読みいただきありがとうございました。
本の電子化がどういうものか少しでもわかっていただけたら幸いです。
最後に参考として僕の作業環境を書いておきます。
僕は1番コストがかからない方法でやっています。
つまり、裁断はロータリーカッター、スキャナは中古の物で今でも作業しています。
一番最初にお試しで揃えた環境で結局現在まで使い続けているという感じですね。
全部そろえるのに1万円ちょっとくらいしかかかっていません。
スキャナは10年前の型の物を使っています。最近はだいぶガタが来ている感じでよく紙詰まりを起こすようになりました。
そろそろ買い替えかなぁと思いメルカリをのぞいたりしています。
僕の場合、一気に片付けるというよりは少しずつやっていこうと考えていたので、作業性よりもコストをとりました。
今考えれば、カール事務器のカッターは有っても良かったかなと感じますね。
現在は月に1,2回電子化する程度で、書籍はほとんど、キンドルなどの電子書籍を購入するようにしています。
実際にやってみたいと思った方は次の【実践編】の記事も参考していただければと思います。
コメント